小津安二郎生誕120年記念イベント「世界のOZU、市井の小津」を開催しました
12月2日(土)・3日(日)に、鎌倉同人会との共催で小津安二郎生誕120年記念イベント「世界のOZU、市井の小津」を開催しまし、小津安二郎とゆかりのある人々が語るドキュメンタリー映画『生きてはみたけれど 小津安二郎伝』(1983年)の上映を行いました。
鎌倉同人会は1915年に設立された社会貢献団体で、鎌倉市の教育や文化、芸術の発展を目的として活動されています。松竹大船撮影所の名プロデューサーであった山内静夫さんが理事長を務められたことでも知られています。今回は鎌倉同人会よりお声がけいただき、共催イベントを開催する運びとなりました。
さらに、各日午後の上映回では国立映画アーカイブ館長の岡島尚志さんや書籍「小津安二郎」(新潮社)の著者である平山周吉さんをお招きしました。
岡島さんには小津安二郎の国外における評価をテーマに、ご自身の体験を交えながらお話しいただきました。海外の映画祭や映画に関する会議、さらに海外で講演されている岡島さんの貴重なエピソードは、日本的であると言われる小津映画を普段とは異なった点で楽しむきっかけとなりました。また、川喜多長政・かしこの一人娘である川喜多和子と、和子のパートナーである柴田駿さんとも交流があった岡島さんには、二人との思い出もお話しいただきました。当館では今春に企画展「BOWシリーズの全貌―没後30年 川喜多和子が愛した映画」を開催しましたが、この展示を思い出された方もいらっしゃったのではないでしょうか。小津安二郎から川喜多和子まで、時間の許す限りお話しいただきました。
平山さんには、小津の盟友である山中貞雄の姿を小津作品に見出すという新たな切り口からお話しいただきました。トークイベントの開催日は、前日にNHKのETV特集「生誕120年・没後60年 小津安二郎は生きている」が放送されたばかりでした。放送をご覧になられていて、講演でも平山さんのお話を伺うのを楽しみにされているお客さまもいらっしゃいました。『晩春』、『麥秋』、『東京物語』の“紀子三部作”を中心に取り上げながら、若くして戦時下の中国で亡くなった山中貞雄と小津の友情が垣間見えるシーンをご紹介いただきました。小津映画をこれまで以上に楽しむことの出来る機会となりました。
映画監督・小津安二郎の生誕120年/没後60年にあたるこの年に、鎌倉同人会の皆さまと今回のイベントを開催できたことを嬉しく思います。ご来場いただいた皆さま、岡島さん、平山さん、そして鎌倉同人会の皆さまありがとうございました。