旧川喜多邸別邸(旧和辻邸)は、哲学者の故和辻哲郎氏が江戸後期の民家を東京都練馬区において居宅として使用していたものを、昭和36年に川喜多長政、かしこ夫妻がここに移築したもので、夫妻はこの建物を海外から訪れる映画監督や映画スターたちを迎える場として使用しました。

旧市街地の谷戸の高台に建つこの建物は、背後の山並みと桟瓦葺きの屋根が調和した和風建築で、地域を代表する魅力的な景観を形成していることから、平成22年9月1日に景観重要建造物*に指定されました。

旧川喜多邸別邸(旧和辻邸)
入口は昔の農家の造りで、入るとすぐに土間があります

旧和辻邸の内部は太い梁や柱に支えられた土間や居間があり、民家独特の風情が感じられます。和室は和辻哲郎氏が書斎として使っていた部屋で作りつけの書棚があり落ち着いた雰囲気です。また、居間の隅には炉が切られ、畳の上にはテーブルと椅子が置かれており、外国からの客人を日本情緒豊かな場所でもてなしたことを物語っています。

書斎にて 川喜多長政、かしこ

旧川喜多邸別邸(旧和辻邸)は年2回の春と秋に一般公開されています。

(※次回は4月の最初の土日、4月6日、7日。10:00~16:00(無料))

また、展示等を伴う特別公開という形でも 公開の機会を設けております。

※荒天時、また新型コロナウイルス蔓延状況によって、公開が中止となる場合があります。

*景観重要建造物とは

景観重要建造物は、景観法に基づく制度で、地域の景観上重要な建造物を市長が指定し、地域の個性ある景観づくりの核としてその維持、保全及び継承を図るものです。