「植木金矢作品展 映画女優・原節子を描く」開催

今年の旧川喜多邸別邸(旧和辻邸)における春と秋の一般公開は残念ながら中止となりましたが、秋の別邸をご覧いただく機会として、10月8日から11日にかけて「植木金矢作品展 映画女優・原節子を描く」を開催しました。鎌倉在住の故植木金矢さん(本名・寺内鉄雄)は昭和を代表する劇画家として活躍され、晩年は日本画や映画の創作ポスターを手掛けるなど、これまでに多くのファンを魅了してきました。昨年97歳で逝去された植木さんの1周忌にあたる10月11日にあわせて「原節子」の作品を中心に展示しました。台風14号の影響により初日と最終日のみの開催となりましたが、作品を旧和辻邸でご覧いただく機会ができたことをなによりも嬉しく思います。旧和辻邸の風情ある佇まいと植木さんの作品世界が融合して、光の影の美しい劇画の世界が広がりました。

昭和20年代後半から昭和30年代にかけての時代劇全盛期に発表した『風雲鞍馬秘帖』や『三日月天狗』は貸本ブームに乗って子供たちを虜にしました。昭和40年代以降は時代劇画を中心に活躍したことから「伝説の劇画師」と呼ばれていました。晩年に植木さんが映画女優のなかで最もよく描いたのが「原節子」でした。記念館で開催中の特別展「生誕100年 原節子と山口淑子」と連動し、植木さんの作品をご覧いただきました。

今回は感染予防対策により人数制限を実施したことで、普段は立ち入ることのできない居間や書斎でも作品をご覧いただくことができました。植木さんが描いた小津安二郎監督の『晩春』『麦秋』や成瀬巳喜男監督の『山の音』の創作ポスターなど、皆様、熱心に見つめていました。

初期の時代劇作品をもとに再び絵筆をとり描き上げた作品や情緒豊かな美人画、「世界最高齢の漫画家」としてギネス世界記録に認定された際の「公式認定証」も展示しました。台所には映像コーナーを設置し、植木さんの創作風景を撮影した記録映像も上映しました。

御命日となる11日は、台風一過となり薄日が差す秋らしい一日となりました。植木さんの笑顔の写真とともに、会場の皆様からも笑顔がこぼれる姿が印象的でした。

植木金矢作品展は終了しましたが、記念館で開催中の特別展「生誕100年 原節子と山口淑子」(2020年12月13日まで)でも植木さんが描いた『山の音』や『忠臣蔵 花の巻・雪の巻』の作品を展示しています。こちらもぜひご覧ください。(文)

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