企画展「歴史を旅する映画」終了しました!~後にも先にもないサプライズトークのおまけつき~

昨年12月21日から開催してまいりました企画展「歴史を旅する映画」、お楽しみいただけましたでしょうか?
展示はもちろんのこと、『ラストエンペラー』にはじまり、『ルートヴィヒ』『アラビアのロレンス』『宋家の三姉妹』といった大作から、『灰とダイヤモンド』『大いなる幻影』『悲情城市』といった戦争をめぐる名作まで、映画の醍醐味をご堪能いただけたのではないかと思います。

最終週は『宋家の三姉妹』『悲情城市』という中国・台湾を代表する叙事詩映画の組み合わせということで、連日完売盛況が続きましたが、最終日の3月10日には、誰もがあっと驚くサプライズトークが実現してしまいました!

『悲情城市』を手がけた侯孝賢監督、そして同作をはじめ侯監督の多くの作品で脚本を手がけている朱天文さん、そしてそして侯監督、朱さんと長年にわたる親交をお持ちの野上照代さん(黒澤明監督の伝説的スクリプターの方ですね)によるトークです!

このお話が当館にもたらされた時、既に当日のチケットは完売していたため広報ができるタイミングではなく、またスタッフも「本当にいらっしゃるのかしら?」と半信半疑のままだったので、お客様には上映前のご挨拶でのお知らせとなりました。
ただでさえ上映時間の長い作品だったため、夕方ご予定のあったお客様には大変申し訳ありませんでしたが、『悲情城市』の35mmフィルム上映に続いて、お三方のお話が聞けるという素晴らしい時間を皆さんと共有することができて本当に幸せでした。

お話は、侯孝賢監督と朱天文さんの出会い、『悲情城市』をはじめ侯監督作品の日本での紹介に貢献した川喜多和子さん(フランス映画社)のこと、和子さんが野上さんを通じて黒澤監督に侯監督作品を紹介し、黒澤監督が大ファンになったことなどに始まり、侯監督と朱さんの仕事の方法や『悲情城市』における言語の複雑さまで、映画を観るだけではなかなかわからないことも多く、とても貴重な機会となりました。

川喜多映画記念館のスタッフとしては、川喜多夫妻から和子さんへと受け継がれてきた、映画を愛して映画を伝えるという積み重ねがあったからこそ、このような奇跡が実現したのだということを実感すると共に、映画の上映環境が大きく変化しているこの時代に、先人たちの想いを繋げていくことの重要性を自覚した瞬間でもありました。

4日間の展示替え休館を挟んで、次回は3月15日(金)より、川喜多長政・かしこ夫妻の仕事をご紹介する展覧会「映画大使 川喜多長政・かしこ夫妻の軌跡」が始まります。
和子さんが配給した『悲情城市』から遡って、川喜多夫妻がわが国にもたらした数多くの映画との出会いを、この機会に是非辿ってみていただければと思います。(胡桃)