映画ポスターの革命
ATG[アート・シアター・ギルド]の挑戦
2020年6月2日(火)~9月6日(日)
あらゆる芸術分野でそれまでの価値観に対する異議申し立てが行われた1960年代、映画界でも既成の映画文法に囚われない作家性の強い作品が各国で同時多発的に生まれ、商業主義に立ち向かう新たな動きが起こりました。これらの現象に呼応する形で誕生したのがATG[日本アート・シアター・ギルド]です。
映画というジャンルの垣根を超えて野心溢れる作り手たちが集ったATGは、“映画ポスター”においても独自のコンセプトを打ち出し、宣伝という枠を超えて映画ポスターを芸術作品の域にまで高めました。粟津潔、横尾忠則ら当時の新進気鋭のアーティストが手がけたポスターは、高揚した時代を映し出す鏡となり、また映画ポスターを生業としてきたデザイナーたちにとっても、制約の少ないATGでの仕事は、実験的な表現の追求を可能にしてくれたのです。
本展では、そんな時代を切り開いたATGの映画ポスターをご紹介します。日本の映画ポスターデザインの歴史に大きく寄与したATGの試みは、まさに「映画ポスターの革命」だったと言えるでしょう。
ATG[日本アート・シアター・ギルド]とは・・・
川喜多かしこらが推進した《日本アート・シアター運動の会》を前身とし、非商業的な芸術映画の公開を目的に1961年に設立。世界各地での“ヌーヴェルヴァーグ”の台頭を背景に、従来の映画館にはなかったコンセプトで独自の地位を築いた。
当初は外国映画の配給が中心だったが、60年代末からは日本映画の製作にも乗り出し、《一千万円映画》と呼ばれる低予算ながらも自由な映画作りの枠組みを提供。1992年に活動を停止するまでの間、新人作家からベテラン監督に至るまで、大手の映画会社にはない先鋭的な映像表現を追求する場となった。
展示協力:国立映画アーカイブ ポスター撮影:山崎あゆみ チラシデザイン:村松道代