【特別展】映画衣裳デザイナー 黒澤和子の仕事

2017年9月15日(金)~12月17日(日)

世界的巨匠・黒澤明監督の長女として、1954年『七人の侍』と同じ年にこの世に生を受けた黒澤和子。映画にすべてを捧げる父の姿を傍らで見てきた娘は、やがて映画の世界に入り、公私ともに父を支えるようになります。そんな彼女が出会ったのが「衣裳」という仕事でした。


黒澤監督晩年の作品で経験を積んだ後、衣裳デザイナーとして数多くの作品を手がけるようになった彼女は、豊富な知識に裏打ちされた時代考証と、衣裳に経年劣化を施し作品に奥行きを与える《ヨゴシ》の技術によって、今や映画界に欠かすことのできない存在となっています。監督のイメージを第一に考え、作品に貢献するその仕事ぶりは、小泉堯史、北野武、是枝裕和など、現在の日本映画を代表する監督たちから絶大な信頼を集めています。また時代劇から現代劇までジャンルを問わず活躍、近年は『とと姉ちゃん』『軍師官兵衛』などのテレビドラマや海外にも仕事の場を広げています。


本展では、映画で実際に使用された衣裳をはじめ、デザイン画やポスター、ヨゴシ道具を展示し、黒澤和子の仕事を通して映画衣裳の世界をご紹介します。関連上映では、彼女が衣裳デザインを手がけた作品を中心に、創作の上で刺激を受けた外国映画も上映します。

映画作りにおける大事な要素でありつつも、これまで取り上げられる機会の少なかった映画衣裳を通して、映画の重層的な魅力を再発見していただけますと幸いです。

協力:株式会社K&K Bros.、東京衣装株式会社、東京国立近代美術館フィルムセンター