夏休みこども映画館、元気に終了しました!

長期休みを中心に、小さなお子様から小学生までを対象にしたワークショップをお送りしている川喜多映画記念館ですが、今年の夏は少し規模を大きくして、35mmフィルムを使っての上映+ワークショップを計画してみました。

これは、どんな地域に暮らしている人でも映画文化に接する機会を持てることを目指して活動している「コミュニティシネマセンター」の「Fシネマ・プロジェクト」に参加して行なったもので、「Fシネマ」の「F」とは「フィルム」を意味しています。
世界中で映画がデジタルへと移行する中、上映機会が失われつつあるフィルムで上映を行うというこのプロジェクトは、映画文化の継承を目的としている当館にとっても、とても重要な使命だと思っています。

そんな大人の事情は置いておくとして、今回のこども映画館では、世界にその名を轟かすアニメ作家である宮崎駿監督と故・高畑勲監督の初期の大傑作『パンダコパンダ』(2作品)と、昨年の国産アニメーション100周年を受けての貴重な初期アニメーション4作品(『なまくら刀』『煙り草物語』『漫画二つの世界』『PROPAGATE(開花)』を上映する機会に恵まれました。

普段、子ども達がなかなか目にする機会のないこれらの作品を、1人でも多くの子に楽しく味わってもらいたいと、私たちは大奮起、当館としてもいくつもの新しい試みにチャレンジしてみました。

まず一つ目が、小さなお子様が泣いたりお母さんとお話ししても気兼ねなく映画を楽しんでいただける「はじめまして、映画館」です。
小さい子どもをお持ちのお母さんたちからしばしば聞くのが、「映画を見たいけど、子どもが小さいのでなかなか行けない」というものでした。映画館でわが子が泣いてしまわないか、人に迷惑にならないか、こちらの想像以上にお母さんたちは心配してしまうものなのですね。
『パンダコパンダ』は内容的にも時間的にも小さいお子様にぴったりな作品なので(もちろん誰が見ても素晴らしいですが)、この作品でこの企画は多くのお客様に喜んでいただけました。


「思っていたよりもずっと子どもが集中して見ていた」と喜んでくださったり、「子どもと一緒に笑ったり話したりしながら見ることができた」「初めての映画館で素敵な作品を見せてあげることができて嬉しい」といった声もいただきました。
また、せっかくフィルムで上映するので、フィルムに触ってみる機会も設けたり、映画が始まる時に映写室の方を向いて映写技師さんに手を振って合図を送る、ということもやってみました。いつもは縁の下の力持ちの技師さんたちも、子どもたちが一斉にこちらを向いて手を振るので、恥ずかしいやら嬉しいやらといったご様子でした。


この企画はこれからも、是非たびたび実施していきたいと思います。

8月3日には、小学生を対象に、日本の初期アニメーションを鑑賞し、サイレントであるそれらの作品にセリフや音を自由につけよう!というワークショップを実施しました。いわゆる弁士や伴奏を体験して、昔の人たちの映画鑑賞の形態に少しでも近づこう!という内容です。
こちらとしては、アニメとはいえ昔の無声映画を子どもたちが楽しんでくれるかしら…、字幕は読めない漢字も多いから内容を理解できるかしら…と不安も多かったのですが、いざふたを開けてみると、みんな物語もよくわかっていたし、今のようにスムーズでないアニメの動きや、実写を織り交ぜた技法を、大笑いしながら見てくれていました。

また、セリフをつける作業も試行錯誤ながらなんとか短時間で完成までたどり着き、フィルム上映に合わせての発表では、声を出すタイミングに苦心しながらも楽しんでくれたようでした。


そして、荻野茂二さんの抽象的なアニメーションに音をつけるワークでは、パーカッショニストのヒロシさんが、1人で20個もの打楽器を持ってきてくださって大活躍!子どもたちにも扱いやすい打楽器なので、みんな思う存分音を出せていましたし、またヒロシさんの絶妙な指揮のお陰で、ほとんど即興にも関わらず映像とも非常に合っていて、奇跡と感動を巻き起こしていました。

このワークショップでは、昭和音楽大学の有田栄先生、車をチャーターして楽器を運んでくださったパーカッショニスト・ヒロシさん、いつも当館の子ども向けワークショップを一緒に作り上げてくださる、アートとつながる鎌倉の方々に多大なるご協力をいただきました。心よりお礼申し上げます。

そして当館での夏のワークショップは、まだあります!
8月28日(火)10~12時/13時半~15時半の「ぐるぐるアニメワークショップ」です。こちらは毎年恒例の人気企画。人数もだいぶ埋まってきていますので、ご参加をご希望の方はお早めにお申込みください!(胡桃)