美しい、あまりに美しい紅葉の中で小津監督・笠智衆さんのお墓参り ~晩秋の友の会散策ツアー~

12月に入り本格的な冬の寒さを感じ始めたこの頃です。

毎年記念館では年に2度ほど、友の会の会員さん向けにイベントを行うのですが、ちょうど[特別展]鎌倉の映画人 監督 小津安二郎と俳優 笠智衆の会期中であり、小津監督の命日も近かったことから、12月10日(木)に「晩秋の友の会散策ツアー」と題して、27名の会員の皆様と一緒に小津監督と笠智衆さんのお墓参りに行ってきました。

今年はなかなか寒くならないと言われているからでしょうか、12月の北鎌倉は紅葉がまさに見頃、小津監督のお墓がある円覚寺の入り口や境内には、美しい山吹色の銀杏や赤くグラデーションになった紅葉が訪れる人たちの目を楽しませていました。
私はここ何年も紅葉狩りに出かけるなんてことがなかったのですが、仕事で偶然にも紅葉を味わうことができて大変にラッキーだったと思います。
午前中は底冷えのする寒さでしたが、空気が澄んで木々はより一層美しく見え、お昼近くなると気温も上がって絶好の散策日和となりました。翌日は嵐のような雨だったので、ますますこの日に実施できたことは幸いでした。

なお、当日は、小津監督の姪御さんである小津亜紀子さんがお立会いくださり、円覚寺から私たちと一緒に歩いて笠さんのお墓のある成福寺でのお参りにもご参加くださいました。
円覚寺でお目にかかった亜紀子さんは、手に真紅の薔薇の花束をお持ちになっており、小津監督の墓前に供えていらっしゃいました。

下世話な話で恐縮ですが、以前、原節子さんのミステリアスな生き方を取り上げた記事か何かで、小津監督の命日に必ず供えられている薔薇の主は原さんではないかと書かれていたことがありましたが、実は小津亜紀子さんであったことがあっさりと判明しましたね。

ささやかながらお花を手向け、お線香を供えて墓前に手を合わせる…お墓参りに行って死者に語りかけるというのは、背筋が伸びるというか、気持ちが引き締まるというか、なんとも清々しい気持ちになるものです。なんとなく、小津監督や笠さんと心が通い合ったような、距離が縮まったような思いがしました。

これから益々寒くなりますが、鎌倉にいらっしゃる際には、小津監督、笠智衆さんのお墓にも足を運んでみてはいかがでしょうか。(胡桃)