週末は大忙し!~旧和辻邸一般開放~秋のシネマセレクション~映画談話室~

夏が終わって涼しくなると、各地で一斉にイベントの数が多くなりますが、
当館もご多分に漏れず、10月は盛りだくさんの内容でお届けします!

まずは記念館裏の庭園に建つ、旧川喜多邸別邸(旧和辻邸)の秋の一般公開です。
名前がわかりづらいですが、哲学者の和辻哲郎が生前住居にしていた家を、和辻氏の死後川喜多夫妻が鎌倉に移築し、海外からのお客様をお迎えする際に使用したため、このような呼び名になっています。
家屋自体は、元々江戸時代末期の農家のものを和辻氏が移築しているので、日本の伝統家屋としての価値も非常に高く、記念館裏にある山並みと合わせて、鎌倉市の第一号景観重要建造物に指定されています。
普段は遊歩道から眺めていただくだけなのですが、年に2回ある鎌倉市の施設公開では、通常公開されていない市内の他施設と併せてご覧いただけます。

今年度、春の公開時は天気が悪くて残念だったのですが、今回は2日間ともさわやかな秋晴れに恵まれました。
庭園に植えられている木や花を興味深く見られる方、家屋の構造を細かく確認される方、立派なカメラで様々な角度から写真を撮られる方、当館スタッフによる解説(今回初の試みだったのですがいかがだったでしょうか?)に耳を傾けてくださる方など、皆様思い思いに楽しんでいただけたのではないでしょうか。

中には大変お詳しい方もいて、ご案内する立場の私の方が教わることも多く、次の公開までには映画だけじゃなく建築のお勉強もしておきたいものだ…と思ったのですが、同じことを半年前にも考えたのを思い出しました。
人間、喉元を過ぎると熱さを忘れてしまうものですね。

今週は秋のシネマ・セレクションも開催しました。食欲の秋、芸術の秋にちなんで「世界の美味しい映画たち!」と題し、近年特に増えている「食と映画」に焦点を当てた特集です。『めぐり逢わせのお弁当』(インド)、『ある精肉店のはなし』(日本)、『ソウル・キッチン』(ドイツ)と世界各地の作品を集めることで、文化的な背景の違いも比べていただけるといいな、と思ってプログラムを組みましたが、インド映画は受け入れてもらえるのだろうか、牛の屠畜場面のある映画を見ていただけるのだろうか、と不安も多くありました。


ところが蓋を開けてみたら、インドの主婦イーラの気持ちになって涙される方、とっても良かったと笑顔で帰路につかれる方、そしてお肉屋さんのドキュメンタリーを子どもにも見せたいと親子でいらした方、エンドロールが終わると拍手で映画を讃えてくださる方など、こちらの予想を越えて皆様素敵な反応を示してくださいました。
今回は「食」の特集ということで、近隣のお肉屋さんやお弁当屋さんにもポスターを飾っていただくなどご協力いただきました。お弁当屋さんのおばあちゃんが観に来てくれたのは嬉しかったなぁ。
10月3日の『ある精肉店のはなし』の上映後には映画談話室も実施し、残ってくださった20名ほどの方たちと映画についてお話しする機会があったのですが、皆さん本当に様々なきっかけで映画を見に来てくださるのだなぁと実感しました。別々の場所から集った人たちが、一つの作品について、あーでもないこーでもないと話すのは貴重な機会ですね。映画談話室はこれからも大切にしていきたいと思っていますので、是非またご参加ください!

最後に、10月のイベント予定をおさらいしておきます。
・10月9日(金)13:30~『父ありき』上映+トーク ゲスト:笠鉄三さん、笠兼三さん(俳優)
・10月20日(火)13:30~『生きてはみたけれど 小津安二郎伝』上映+トーク ゲスト:兼松熈太郎さん(日本映画撮影監督協会理事長)
・10月23日(金)14:00~『大人の見る繪本 生れてはみたけれど』活弁付上映 弁士:澤登翠さん
・10月27日(火)13:30~『未完成交響楽』上映後、旧和辻邸庭園にてアフタートーク ゲスト:西澤英男さん(ヨーロッパ近現代史研究家)
・10月30日(金)13:30~『ローザ・ルクセンブルク』上映後、アフタートーク ゲスト:マリオン・クロムファスさん(「ニッポン・コネクション」ディレクター)

詳細に関してはお問い合わせください。
それでは、10月は何度でも記念館に足を運んでいただけるよう、スタッフ一同心よりお待ち申し上げております。(胡桃)