山田洋次さんトークイベント

6月15日は、最新作『小さいおうち』がベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞するなど、日本が世界に誇る映画監督である山田洋次監督にお越しいただき、「想い出の大船撮影所」と題したトークイベントを開催いたしました。

 当日はトークイベントが始まる前に、山田監督に企画展示をご覧いただきました。撮影所前史となる大船田園都市構想の資料の前では、足を止められ熱心にご覧いただき、なかでも昭和12年の大船撮影所内におけるスターやスタッフの様子を記録した映像には「これから新しい映画をつくっていこうという雰囲気を感じる」と仰っておられていたのが印象的でした。

 山田監督が映画を学んだ学校でもあるという大船撮影所。昭和29年に入社され、渋谷実監督の組についてカチンコを打っていた助監督の頃から、脚本家になろうと決心され、野村芳太郎監督、脚本家の橋本忍氏に師事していた頃、そして家族のように温かかったという撮影所の雰囲気をお話しいただきました。

 デビュー作となった『二階の他人』初監督時の不安、手探りのなか監督していたという漠とした感情から、後年になって作品を見直したときに感じた、すべてが自分自身の作品になっていたことへの驚きを語られた際には、山田洋次監督の原点に触れたかのような気がいたしました。

 そして、山田監督の代表作である『男はつらいよ』シリーズに主演された渥美清さんの役者として人としての素晴らしさ、今も寅さんであればこんな物語ができるという発想がとめどなく溢れでてくることを語っていただき、山田監督が目指す映画の在り方は、観客のなかで膨らんでいくイメージを大切しているということだと教えていただきました。

 最後に、映画がフィルムからデジタルへと変わっていくことへの想いを語っていただき、私達へ「映画とは何か」ということへの深いメッセージをいただきました。

 本企画展の最後には、松竹蒲田から大船にかけて撮影所を支え続けた松竹を代表するプロデューサーである城戸四郎氏が、映画化を待ち望んでいた企画でもあった山田洋次監督の『学校』が上映されます。6月27日(金)から29日(日)です。山田洋次監督の代表作をぜひご覧ください!