特別展「映画をデザインする―小津安二郎と市川崑の美学」がはじまりました
日中はまだまだ暑い日も多いですが、朝晩はだいぶ涼しくなり、ようやく夏の終わりが感じられるようになりました。
川喜多映画記念館では、9月11日(日)をもって夏の企画展「映画と音楽の素敵な出会い PartⅡ」が終了し、17日(土)から秋の特別展「映画をデザインする―小津安二郎と市川崑の美学」が始まりました。
来年2023年に生誕120年を迎える小津安二郎は、恐らくこれから来年にかけて各地で様々な催しが行われるかと思いますが、当館ではそれに先駆けて、鎌倉に暮らした、そして今も鎌倉に眠る小津監督の魅力を、改めて感じていただける展覧会をお届けします。
今回の展示では小津監督とともに、戦後の日本映画界を支えた市川崑監督を取り上げ、2人の映画作家を〈デザイン〉の視点から検証します。
2人は1950~60年代にかけて、日本映画の黄金時代と呼ばれた時期に多くの代表作を発表していますが、これまで彼らが一緒に語られることはあまりなかったように思います。しかし、ともに鋭いデザイン感覚を持ち、映画の物語以上に画面の構成に一貫した美学を持っていた小津・市川両監督は、数多くの映画監督たちの中でも実は近いスタイルを持っていたのではないでしょうか。
本展では、若き日の2人に影響を与えた外国映画から、戦争との関わり、彼らの映画作りを支えたパートナーといった作家形成の背景となる要素から、作品の中に見られる美学的要素まで、様々な貴重資料とともにご紹介します。
会期は12月12日(月)までです。前半では市川監督作品の上映、そして後半には小津作品の上映、各種イベントなど盛り沢山な3か月になりますので、スタッフ一同、皆さまのご来館をお待ちしております。(胡桃)