企画展「追悼・山内静夫 松竹大船撮影所物語」閉幕しました
3月18日より約3か月にわたって開催しました、企画展「追悼・山内静夫 松竹大船撮影所物語」は、6月12日をもって無事に閉幕いたしました。
2021年8月15日に96歳で亡くなられたプロデューサー・山内静夫を偲び、本展では父である鎌倉文士・里見弴や小津安二郎監督との交流をプライベート写真で振り返ると同時に、山内が活躍した松竹大船撮影所の歩みを代表作のポスターとともに振り返りました。また「松竹映画100年の100選」と連動させて、映画人たちが選んだ「私の好きな松竹映画」をコメントとともにご紹介しました。
過ごしやすい春の季節の開催となり、またこれまでより外出しやすい状況になってきたなかで、会期中多くのお客様にご来館いただくことができました。今年4月からは、鎌倉市民の展示観覧が無料となり、鎌倉に生まれ育ち鎌倉の文化芸術振興に尽力した山内静夫の功績を、市民の方たちにもご覧いただける良い機会となったのではないでしょうか。
会場には、来館者の皆様にも「私の好きな松竹映画」を書いて貼っていただくコーナーも設け、毎日用紙が貼り切れないほど多くの方にご参加いただくことができました。皆様、ありがとうございました。下記に結果を発表いたします。
第1位 「男はつらいよ」シリーズ(114票)
第2位 『砂の器』(89票)
第3位 『幸福の黄色いハンカチ』(65票)
第4位 『おくりびと』(48票)
第5位 『東京物語』(43票)
第6位 『二十四の瞳』(33票)
第7位 『蒲田行進曲』(29票)
第8位 『たそがれ清兵衛』(15票)
第9位 『秋刀魚の味』(13票)
第10位 『秋日和』(12票)
上位の作品はすべてポスターを展示していたので、企画展をご覧になりながら好きな作品を思い出していただけたのではないでしょうか。また、作品の思い出とともに書いて下さった方も多く、長年の歴史の中でいかに松竹が数えきれないほどの名作を生んできたかを改めて実感する機会にもなりました。「男はつらいよ」はシリーズ通して、また寅さんというキャラクターが大好きです、というコメントが非常に多く、様々な世代を虜にしてきた寅さんの普遍性とその歴史の重みを感じました。
企画展終盤、5月31日~6月5日には、山内さんの後輩にあたるプロデューサー・深田誠剛さんの手がけた3作品を『滝を見にいく』『恋人たち』『東京ウィンドオーケストラ』を上映しました。深田さんはビジネスとしての映画作りが優先される現代にあって、商業的な成功は難しいとされる<作家主義>×<俳優発掘>を掲げたオリジナル企画を立ち上げ、これまでに7作品を製作しています。今回上映した3本は5~10年も前の作品にもかかわらず、深田プロデューサーの呼びかけに出演者や監督たちが応えてくださり、9回の上映中なんと5回でアフタートークを実施することができました。深田さん自身もほとんどの回に立ち会われ、関係者の皆さんにとっても懐かしい再会の機会となったようです。「監督にやりたいようにやってほしい」「新人俳優を見出したい」というプロデューサーの想いから始まった作品たちが、こうして時を経ても愛されている様子を通じて、「プロデューサー」という役割についてもお伝えできたのではないかと思います。ご登壇いただいた皆様に、改めて御礼を申し上げます。
6月18日(土)からは、装い新たに企画展「映画と音楽の素敵な出会い PartⅡ」が始まります。
展示替え休館中も遊歩道はお通りいただけますので、色とりどりの紫陽花を是非ご覧ください。(胡桃)