〈鎌倉へいわ映画祭2026〉を開催しました
夏休みやお盆の時期にあたる8月11~16日、川喜多映画記念館では「鎌倉へいわ映画祭2026」を開催しました。
毎年8月には、全国各地の映画館で「戦争・平和」をテーマにした特集企画が組まれます。昨年は戦後80年という節目もあり、戦争の歴史を検証しようとする動きはさらに盛り上がりを見せ、現在も新たな映画が生まれ続けています。当館もその年ごとにテーマを設けて、劇映画/ドキュメンタリー、製作年の新旧を織り交ぜながら、これまで様々な映画を紹介してきました。
昨年からは、鎌倉市の「へいわ事業」の一環として実施するようになり、名称も新たに「鎌倉へいわ映画祭」としました。鎌倉市は1958(昭和33)年、全国の自治体に先駆けて「平和都市宣言」を採択しており、鎌倉市の理念を市民の皆さまと分かち合える企画を目指していきたいと考えています。 今年は、日本におけるもっとも悲劇的な戦争の記憶として知られる「広島原爆投下」と「沖縄戦」をテーマに、『黒い雨』(今村昌平監督、1989年)、『夕凪の街 桜の国』(佐々部清監督、2007年)、『島守の塔』(五十嵐匠監督、2022年)、『摩文仁』(新田義貴監督、2025年)の4作品を上映しました。
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今回からの新たな取り組みとして、小・中学生も交えての「映画談話室」が挙げられます。鎌倉市のへいわ事業には、市内在住・在学の小・中学生から応募を募り、8月6日の平和祈念式を中心に広島で戦争と平和について研修を受ける「へいわの学校修学旅行」というものがあります。その事後学習のひとつとして、当館で映画を見た感想や修学旅行について話す場となる「映画談話室」を設けました。
映画談話室は8月12日、『夕凪の街 桜の国』の上映後に行いました。この作品は、アニメーション映画や連続ドラマにもなった『この世界の片隅に』の原作者、こうの史代さんによる漫画作品の実写映画化です。1945年8月から10・40・60年後に生きる人々を通して、原爆の記憶や平和への願いを描いた作品で、戦争が年月を経てもなお多くの人に影響を与え続けていることを伝えています。戦争から遠く隔たった時代を舞台にすることで、若い世代も含め、今に生きる私たちの視点から戦争を捉えられるのではないかと思い取り上げました。
談話室では、小学4年生から中学3年生までの11名が登壇し、<なぜ「へいわの学校修学旅行」に参加したいと思ったのか>、<広島では具体的にどのようなことをしたのか>、<映画を見て印象に残ったこと>、そして<平和にとって映画はどんな役に立つと思うか>について話していただきました。

応募動機については、家庭内のけんかや劇場で見た映画をきっかけに戦争を考えるようになった方もいれば、自分が住む「横須賀」という町の特性、イスラエルの問題への関心など本当に様々でした。また『夕凪の街 桜の国』についても、細かな描写に注目した感想に客席の皆さんも大きく頷いていました。広島での研修を経たからこそ、遠い昔のこととしてではなく、今の問題として語ってくれる姿に大人の私たちも多くの気づきを得ることができました。そして、見たばかりの映画の感想をすぐに言葉にして人前で話すという作業を、難なくこなす姿に頼もしさも感じました。そんな生徒さんたちに刺激を受け、客席からも多くの感想をいただくことができました。
終了後、ご来場の方々からも、鎌倉市がこんな素晴らしい事業を行っていることを知らなかった、とても良い企画だったとお声がけいただき、良い時間を持つことができたのではないかと思います。
映画祭の最終日には、『摩文仁 mabuni』の上映後、新田義貴監督にご登壇いただきました。この作品は摩文仁の丘を中心とした沖縄戦の犠牲者の慰霊碑に集う人々を取材したドキュメンタリー映画です。第二次世界大戦末期、日本国内最大の地上戦である沖縄戦の最終地点となり、多くの犠牲者がでた摩文仁には、現在多くの慰霊碑が林立しています。20万人にも上ると言われている沖縄戦の犠牲者の中には、国内の民間人、兵士だけではなくアメリカ兵、朝鮮人軍夫、朝鮮人慰安婦もいました。沖縄戦終結50周年を記念して建てられた平和の礎には国内外、そして敵味方問わず、全ての沖縄戦の犠牲者の名前が刻まれており、摩文仁は戦争と平和をめぐる様々な祈りが交錯する場となっています。ジャーナリストとしても活動されている新田監督は、約15年にわたり沖縄を取材し、その集大成として本作の映画化に至りました。アフタートークでは、摩文仁の丘の取材のきっかけや、取材を続ける中で感じた摩文仁の慰霊の風景や沖縄の人々の変化、沖縄戦の歴史解釈をめぐる議論、映画の完成後改めて思う平和への思いなど、丁寧にお話しいただきました。

新田義貴監督 『摩文仁 mabuni』アフタートーク
「鎌倉へいわ映画祭2026」は、どの上映回にも多くのお客様にお越しいただくことができました。当館が、映画を通して歴史を知り、より良い未来に向けた対話の場となれるよう、鎌倉へいわ映画祭は来年度以降も継続して開催していく予定です。ご登壇いただいた皆さん、ゲストの新田監督、そして上映にお越しいただいた皆様、ありがとうございました。


