高峰秀子展終了のご報告
お正月休みも終わり、寒さがもっとも厳しくなる時期を迎えています。
昨年10月5日から開催してまいりました特別展「〈女優〉から〈妻〉へ―生誕100年 高峰秀子という生き方」は、1月13日をもって終了しました。
最終週には、〈鎌倉文士原作の映画化作品〉をテーマに、高見順原作の『朝の波紋』(五所平之助監督、1952年)と大佛次郎原作の『宗方姉妹(むねかたきょうだい)』(小津安二郎監督、1950年)を上映しました。連日、満席かそれに近いほどのお客様にいらしていただき、盛況のうちに企画を終えることができました。ご来館くださった皆さま、まことにありがとうございました。
最終日の13日には、友の会会員の方を対象に「高峰秀子と鎌倉文士」をテーマにした散策ツアーを実施しました。高見順が戦時中に疎開して以来、亡くなるまで暮らした北鎌倉から出発し、鎌倉文士とゆかりの深い場所をめぐりました。小津監督が『麦秋』の打ち合わせに使用した料亭「好々亭」跡地の入り口、小津監督や木下惠介監督が眠る「円覚寺」(円覚寺の小高い塔頭付近からは富士山も綺麗に見ることができました)、高見順や和辻哲郎をはじめ数々の文士や知識人のお墓がある「東慶寺」、その合間に「山ノ内八雲神社」や「亀ヶ谷坂」を通り、「寿福寺」にある大佛次郎の墓に手を合わせた後は、雪ノ下にある「旧大佛茶亭」へ。
大佛次郎の文学を後世に伝える活動の一環として、2021年に茅葺屋根の葺き替えを含む大規模修繕を行い、昨年秋、週末のカフェ営業を再開した旧大佛茶亭。今回は現在の茶亭の所有者である一般社団法人大佛次郎文学保存会に全面的なご協力を賜り、茶亭内で珈琲をいただきながら、大佛次郎亡き後この地に暮らし約20年にわたり「大佛茶廊」を営まれていたご親族の野尻芳英さんにお話を伺うという、贅沢な機会にも恵まれました。
真冬ながらもぽかぽかと晴れ渡った空の下、なかなかに詰め込んだコースとなりましたが、皆さん無事にゴール地点の旧大佛茶亭に辿り着き、野尻さんのお話にも大いに満足していただくことができました。ご参加いただいた友の会会員の皆さま、そしてコース下見からしおり作成、当日の引率まで頼もしいパートナーになってくださった友の会サポーターの方々、本当にありがとうございました。
展示替えを経て1月19日からは、新しい企画展「映画字幕翻訳の仕事―1秒4文字の魔術」が始まっています。3月30日(日)までと会期が少し短めですので、是非お早目にご来館ください。映画上映は1月28日(火)から、ゲイリー・クーパーとマレーネ・ディートリッヒ共演の『モロッコ』と、ハリウッドにおけるメロドラマの代表作『邂逅(めぐりあい)』でスタートです。映画も合わせてお楽しみいただけますと幸いです。