特別展「〈女優〉から〈妻〉へ―生誕100年 高峰秀子という生き方」が始まりました

猛暑もようやく終わる気配を見せ始め、秋の訪れを感じられるようになりました。皆さまいかがお過ごしでしょうか?

当館では10月5日(土)より、特別展「〈女優〉から〈妻〉へ―生誕100年 高峰秀子という生き方」が始まりました。今年2024年は、高峰秀子さんの生誕100年にあたるため、各地で特集上映や記念イベントが開催されていますが、当館でもこの機会に、日本映画史を代表する女優である高峰秀子さんの足跡を展示・上映・イベントを通して改めて振り返ります。

高峰さんは1989年、老後に備えて自宅を縮小するにあたり、子役時代からの出演作の脚本やスチル写真、作品ごとのスチルや撮影スナップをまとめたアルバムなど多くの資料を、川喜多記念映画文化財団に寄贈されました。現在、当館は指定管理者である川喜多財団が運営を担っているため、今回の展示では高峰さんが寄贈された資料も数多く出品しています。子役時代の愛らしい姿、子どもでも大人でもない可憐な少女スター期、そして成瀬巳喜男や木下惠介ら名匠の作品で見せる熟成した大人の演技…時代によって様々な姿を見せる女優・高峰秀子をご堪能ください。

今回の展覧会ではまた、「〈女優〉から〈妻〉へ」というタイトルにもあるように、女優としてだけではなく、妻としての高峰秀子についても知っていただきたいと考えています。高峰さんは1955年、木下惠介監督の助監督だった松山善三と結婚しました。結婚後も仕事は続けましたが、1960年代に入ると木下・成瀬、そして監督業にも進出した松山の作品を中心に出演作を大幅に減らし、妻としての比重を高めていきました。そして俳優業と反比例するように、エッセイストとして多くの著作を発表しています。映画人としての半生を綴った「私の渡世日記」を筆頭に、日常の些細な出来事から著名人との忘れられない思い出まで、公に出る機会は減っても、私たちは多くの名文から高峰秀子というひとりの人間の生き方を垣間見ることができます。

本展では、〈女優〉として、そして〈妻〉としての高峰秀子を、数々の資料と高峰さんの文章から味わっていただけます。ミュージアムショップでは、書籍や関連グッズも販売しています。展覧会は2025年1月13日(月・祝)まで開催しています。これからの時期、鎌倉にお越しの際には是非当館にお立ち寄りいただき、高峰秀子という稀代の名女優と出会ってみてください。