夏のシネマセレクション「ヒロシマ・ナガサキ」

毎年、終戦の日にあわせて開催しています「夏のシネマセレクション」、今年は「ヒロシマ・ナガサキ」と題した特集を開催しました。昭和20年8月6日午前8時15分に原爆が投下された直後の広島を再現し、当時の広島市民、約8万8千人が参加した映画『ひろしま』(1953年)、永井隆博士の同名手記を原作に、昭和20年8月9日午前11時2分に原爆が投下された直後の長崎を再現した、木下惠介監督作品『この子を残して』(1983年)、清水宏監督が自ら設立した独立プロで製作し、戦後間もない広島でも撮影された『蜂の巣の子供たち』(1948年)、広島・呉に嫁いだ主人公・すずさんの戦時下の日常を繊細に描いたアニメーション『この世界の片隅に』(2016年)の4作品を上映しました。

会期中は、鎌倉市被爆者の会の協力により、上映後に戦争体験談のお話をしていただきました。軍人として原爆投下直後の広島で救護活動や遺体処理に当たったことや、奉仕活動中、広島に原爆が投下された瞬間を目撃した体験談など、当時の様子をお話しいただきました。ご本人にとって、体験談のお話をすること自体が大変な力と勇気が必要であることも肌で感じました。人間が生きること、そのものが、原爆によって一瞬で壊される恐怖とともに、今ある私達の日常に繋がっていることを改めて実感しました。そして、平和であることを大切にしたいと強く思いました。             

情報資料室では、鎌倉市被爆者の会の協力により、被爆55年にあたる2000年に、神奈川県在住の被爆者の方々が描いた詩画集のパネルを展示し、ご来場の皆様にご覧いただきました。また、会場では「ヒバクシャ国際署名」への呼びかけも行なわれ、多くの方々に署名をしていただきました。

令和という新しい時代を迎え、これからも後世に語りつがなければならない大切なことを教えていただきました。上映後の映画談話室でも、映画鑑賞という場を通して、ともに戦争と平和について話し合う大変貴重な機会となりました。当館では、毎年、終戦の日にあわせて、このような特集を開催してまいります。ぜひ来年も足をお運びください。    (文)