特別展「サスペンス・ミステリー映画の奇しい世界」展示替えのお知らせ

 11月末からスタートした特別展「サスペンス・ミステリー映画の(あや)しい世界」は、2月2日に一部展示替えを行いました。本展は3月29日まで開催しています。

 本展では、作品の世界観を凝縮したような、(あや)しく魅力的なデザインのポスターを中心にご紹介しております。国立映画アーカイブや国内屈指のポスターコレクターの方々からも資料をお借りして、ヒッチコックの日本初公開時の初版ポスターや『2001年宇宙の旅』(US版)のレンチキュラー*版ポスターなど、なかなか見ることが出来ない貴重な資料も多数展示しておりますので、この機会にぜひお立ち寄りください。

*レンチキュラーとは…
見る角度によって印刷物に奥行きや動きを与える視覚効果のことです。
かまぼこ型の凸レンズが並んだシートに印刷することで、通過する光が屈折し絵柄が変化しているように見えます。

 今回の展示替えの中で、特にご注目いただきたいのは、情報資料室のそばに展示している「鎌倉ゆかりの画家たちによる〈(あや)しい映画〉作品展」です。 このスペースでは次の4名、鎌倉ゆかりの画家の皆様の作品を展示しています。

版画家・絵本作家のささめやゆきさん。当館敷地内にある旧川喜多別邸での個展の開催のほか、企画展〈映画と音楽の素敵な出会いPartⅡ〉(2022年度)、〈バレエ映画の世界-日本バレエ発祥の地・鎌倉〉(2020年度)ではメインビジュアルを手がけてくださいました。

舞台装置家として演劇・オペラ・ミュージカルと幅広く活躍されている倉本正文(装置家名は倉本政典)さん。当館の企画展〈ジェラール・フィリップと忘れじの名優たち〉(2023年度)以来、企画展に合わせた作品を度々手がけていただいております。

鎌倉や都内を中心に雑誌、書籍の挿画、映画・演劇・音楽作品のビジュアル、企業広告等のデザインを手がけるなど幅広く活躍されているイラストレーターの及川真雪さん。本展のメインビジュアルも手がけてくださいました。

映像やイラストレーションの制作と並行して、由比ヶ浜通りにある映画をコンセプトにしたカフェ&バー「映画館 まちの灯り coffee & whiskey」を運営する斉藤吉彦さん。当館の上映特集やイベントにもたびたび足を運んでくださっています。

どれも素敵な作品ですので、ご来館の際にはぜひご覧になってください。

 今回の特別展は、対談形式のトークイベントも見どころの一つです。

2月7日(土)には、ホラー作家の平山夢明さんとポスターコレクターの小野里徹さんによるトークイベント「ストレンジラブな映画の話」を開催しました。

このトークイベントでは、本展の関連作品の中から、お二人の愛してやまない(ストレンジラブな)映画──『マルホランド・ドライブ』に始まり、『チャイナタウン』、『セブン』、『ゾディアック』を中心に、たっぷりと語っていただきました。 その中でも『マルホランド・ドライブ』についてのお二人のトークは、映画さながら行き先の見えない名ドライブでした。『マルホランド・ドライブ』は、カンヌ国際映画祭監督賞など名だたる賞を受賞したデヴィッド・リンチ監督の代表作です。2016年にBBCが発表した「21 世紀の偉大な映画トップ 100」でも第一位に選出されるなど、現在に至るまで高い評価を得ている作品ですが、一方で、終始謎めいて悪夢のような展開が続くため、難解な作品としても知られています。平山さんはこの『マルホランド・ドライブ』の難解さをリンチのおもてなしと捉え、「『マルホランド・ドライブ』は茶道」との名言。私はこの名言を難解な映画と出会う度に思い出すでしょう

*左:平山夢明さん 右:小野里徹さん
*本展には小野里さんの貴重なポスターの数々を展示しております。

 対談形式のイベントは来月もございます。 3月21日(土)、ハリウッドの巨匠ジョセフ・L・マンキ―ウィッツ監督の遺作『探偵〈スルース〉』の上映後、映画批評家の須藤健太郎さんと文筆家の上條葉月さんをお迎えして「マンキ―ウィッツとサスペンス映画」を開催いたします。次回はどんな(あや)しく興味深いお話が飛び出すのか。どうぞお楽しみに。

 本展の関連上映もまだまだ続きます。

トークイベントでも話題となったデヴィッド・リンチの代表作『マルホランド・ドライブ』(2001)、ローレンス・オリヴィエとマイケル・ケインの名優二人が奇妙なバトルを繰り広げる密室劇『探偵〈スルース〉』(1972)、公開当時シャロン・ストーンの妖艶なファム・ファタールぶりが話題となった『氷の微笑』(1992年)など、3月も引き続き、スクリーンで「体験」していただきたい作品を上映いたします。 鎌倉にお越しの際はぜひ鎌倉市川喜多映画記念館にお立ち寄りください。