スタンプラリー連携施設によるトークセッションを実施しました

鎌倉・雪ノ下エリアにある文化施設では、ジャンルの異なる芸術や歴史文化をお楽しみいただくために、<鏑木清方記念美術館><神奈川県立近代美術館・鎌倉別館><鎌倉国宝館><鎌倉歴史文化交流館>そして当館<川喜多映画記念館>の5館で「ミュージアムめぐりスタンプラリー」を実施しています。

コロナ禍以前は年に1度、各施設の学芸員が集まり、共通するテーマを決めてトークセッションを行ってきましたが、今回5年ぶりに、北条政子の歿後800年を記念して「鎌倉と女性」をテーマにトークセッションを実施しました。さらに、鎌倉文学館(現在工事休館中)の元学芸員(現・鎌倉芸術館学芸員)の方にも加わっていただき、総勢6館となりました。40名の定員に対し約3倍もの応募があったとのことで、皆さんの関心の高さにこちらの気も引き締まりました。

会場は鎌倉歴史文化交流館。開催中の企画展「女学生がみた近代の鎌倉―田辺新之助と鎌倉女学校―」の最終日でもあり、展示解説もありました。

閉館後のロビーに椅子とスクリーンを設置し、17時スタートです。

トーク1番手は、会場にもなっている鎌倉歴史文化交流館・山本みなみさんによる「北条政子と鎌倉時代の女性たち」。

歴史つながりのテーマで、続いて鎌倉国宝館・有山佳孝さんによる「鎌倉の仏像と女性」。

そして3番目には、今回特別に加わっていただいた鎌倉芸術館・山田雅子さんの「鎌倉と女性文学者」。

短い休憩を挟んで、映画をテーマに当館・阿部久瑠美による「川喜多かしこと映画の仕事」。

続いて美術の分野に移り、鏑木清方記念美術館・今西彩子さんの「清方と女性日本画家たち」。

最後は神奈川県立近代美術館 鎌倉別館・三本松倫代さんの「鎌倉(近美)と女性」というラインナップでした。

ここまで多様なジャンルが集まったなか、聴衆の皆さまはいずれの発表にも真剣に耳を傾け、メモをとったり、声を上げて笑ったりと、ダイレクトに反応してくださり、そんな皆さまと充実した時間を過ごせたのではないかと感じました。

ただどうしても各自の持ち時間が15分と短く、各学芸員とも膨大な情報量をなんとか時間内に収めようと必死だったため、参加者の皆さまからメモが追いつかずレジュメが欲しかったというご意見を多数頂戴しました。次回は改善できるよう努めてまいります。

川喜多映画記念館の発表では、普段どうしても「川喜多長政・かしこ夫妻」とひとくくりに紹介しがちなので、今回は「川喜多かしこ」に絞り、かしこが具体的に携わった「映画の仕事」についてお話ししました。会場となった交流館の企画展テーマ「女学生」とのつながりで、かしこが学んだフェリス女学院時代のエピソードから始まり、東和商事に入社し長政と結婚後のかしこの活動を「『制服の処女』の発見」「母としての教育的ポリシー」「フィルム・ライブラリーの推進」「アート・シアター運動の推進」というトピックに分け、かしこ自身の言葉とともに紹介しました。

短い時間ではありましたが、近年ますます注目が高まっている「女性史」の視点からも、川喜多かしこの人間性や仕事に対して興味を持っていただけたのではないでしょうか。

これからも、「鎌倉」という土地に位置する文化施設同士、ゆるやかに繋がり、協力して鎌倉の文化的魅力を発信していきたいと思っています。

今年度のスタンプラリーは3月末をもって終了し、来月4月26日(土)より2025年度スタンプラリーがスタートします。皆さま引き続き、スタンプラリーを楽しみながら、各文化施設に足を運んでみてください。そして次回のイベント開催もお楽しみに。