『千羽鶴』上映と南美川洋子さんをゲストに映画談話室を開催しました

紫陽花が咲き始めた快晴の6月初旬、企画展「大映映画のスターたち」では、鎌倉ゆかりの文学者・川端康成原作の映画『千羽鶴』の上映がありました。そして、6月2日は本作に稲村ゆき子役で出演された南美川洋子さんにお越しいただき、上映後に映画談話室を開催しました。南美川さんは1967年から70年にかけて大映専属の清純派女優としてご活躍されています。

映画『千羽鶴』は大映を代表するスター・市川雷蔵さんが自ら企画し、主演を予定していた作品でしたが、公開した1969年に37歳の若さで逝去されました。雷蔵さんが演じるはずであった菊治の役は平幹二朗さんが務められています。南美川さんは映画デビューから2年目、雷蔵さんと一緒に「衣裳合わせ」をした際の思い出をお話しいただきました。映画談話室の前に会場で本作を鑑賞された南美川さんは、ご自身の思いから、今回は菊治の役を雷蔵さんに置き換えてご覧になられたとのことでした。透き通るような美しさを持った雷蔵さんの姿は今も目に焼きついているとのことでした。

映画は原作同様、冒頭の鎌倉・円覚寺の場面が大変印象的です。円覚寺での撮影には川端康成さんが立ち会われていたということで、南美川さんは緊張のあまり千羽鶴の風呂敷を持ったまま腕が固まってしまったというエピソードもお話しいただきました。南美川さんの気さくな人柄が伝わるお話の数々に会場からは笑いも起こるなど終始和やかな雰囲気に包まれていました。

昨年、東京にある名画座・ラピュタ阿佐ヶ谷で南美川洋子さんの特集上映が開催され、10作品の上映とトークショーが行なわれました。当日は、ラピュタ阿佐ヶ谷のスタッフの皆様から素敵なお花が届けられ、会場を華やかに彩りました。連日、特集上映に通われたファンの方々にもお越しいただき、南美川さんの楽しいトークで映画談話室は大盛況のうちに幕を閉じました。南美川さん、どうもありがとうございました。(文)