日本映画の新しいカタチ2018
3月23日(金)から25日(日)まで、鎌倉市川喜多映画記念館では「日本映画の新しいカタチ」の上映とトークイベントをおこないました。本特集では、新進気鋭の若き映像作家の作品を毎年取り上げ、紹介しています。また監督や俳優、関係者の方に鎌倉までお越しいただき、上映後のアフタートークを開催しています。
今回のテーマは《自分を映す鏡》です。PFF(ぴあフィルムフェスティバル)アワード2015でグランプリを受賞し、第66回ベルリン国際映画祭フォーラム部門に史上最年少(当時21歳)監督作として正式出品された『あるみち』、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2014で監督賞&SKIPシティアワード賞に輝き、ドイツのフランクフルトで開催されているニッポン・コネクションではニッポン・ビジョン審査員賞(第14回)を受賞した『螺旋銀河』、PFFアワード2017で審査員特別賞を獲得し、第20回京都国際学生映画祭でグランプリ&観客賞を受賞した『沈没家族』と、選りすぐりの3作品を上映しました。
左:杉本大地監督
テーマに沿った作品というよりも、それぞれに形式・手法も違えば、対象へのアプローチもタッチも全く異なる3つの映画で、別々の観点から作品の魅力や面白さを語ることができるもの、というのが最初の印象でした。その中でみえてくる特徴や共通点からテーマをまとめた、というのが今回の経緯です。連日にわたって観に来てくださった方もいれば、1日に3作品ともご覧になった方もいらっしゃいました。ひと粒でも十分に面白いのですが、3作品を鑑賞していただくと、映画の面白さは実に多様な観点から見出すことができるし、色とりどりのカタチをしているのだな~と思っていただけたのではないでしょうか。
左:草野なつか監督
23日は『あるみち』の杉本大地監督、24日は『螺旋銀河』の草野なつか監督、25日は『沈没家族』の加納土監督と、ライターでPFFアワードのセレクション・メンバーでもある木村奈緒さんにご登壇いただきました。
加納土監督、木村奈緒さん
『沈没家族』は、かつて監督が家族3人で暮らしていた鎌倉の家の近くや海辺、江ノ電沿いや鶴岡八幡宮を母子で訪ねるシーンが映し出されます。鎌倉にお住まいの方には見覚えのある風景もちらほら・・・。上映後のアフタートークでは、鎌倉在住の方から、鎌倉での子育て環境の当時と現在の違いについてのお話もありました。加納土監督も自身の出生地である鎌倉での上映会を大変喜んでくださいました。
どんな作家にとっても処女作はとても大切なもので、その瑞々しさや輝きはそれぞれに違ったカタチで表出するものです。今回も作品の上映とともに、彼らのこめた想いのひとつひとつを、当時を振り返りながら伝えていただくことができ、とても良い場になりました。ご登壇いただいた方々、この場に立ち会い上映を楽しんでくださった皆様、どうもありがとうございました。(B.B.)