映画がイタリアと日本を結ぶ— 「かまくら世界映画週間〈イタリア篇〉」を開催!

当館では10月24日から29日にかけて「かまくら世界映画週間〈イタリア篇〉」を開催しました。川喜多夫妻が理念とした“映画が世界を結ぶ”をテーマに、世界各国の映画を通して国際文化交流の場となることを目指し開催しています。

  今回は〈イタリア篇〉として、川喜多かしこが設立に携った日本アート・シアター・ギルド(ATG)でかつて公開された『汚れなき抱擁』(1960年)、デジタル完全復元版として、今年、リバイバル公開された『家族の肖像』(1974年)、イタリアの美食と絶景を映画で堪能できる話題作『イタリアは呼んでいる』(2014年)、現ローマ法王の伝記映画であり、アルゼンチンの軍事独裁政権下を克明に描いた新作『ローマ法王になる日まで』(2015年)の4作品を上映しました。また、期間中は2日間にわたってゲストをお迎えしたトークイベントを開催しました。

  27日は、イタリア・ウディネで毎年、開催されているファーイースト映画祭の最高責任者であるサブリナ・バラチェッティさんにお越しいただきました。サブリナさんからは、最初に、これまで日本映画がどのようにイタリアで受けいれられていったかをお話しいただきました。1951年にヴェネチア国際映画祭でグランプリを受賞した『羅生門』を皮切りに、50年代は溝口健二、小津安二郎、市川崑監督の作品、60年代は大島渚、今村昌平監督の作品、そして、現在は北野武、是枝裕和監督の作品と、映画史の流れとともに日本映画の魅力を語っていただきました。

  ファーイースト映画祭は、欧州最大規模で東アジアの映画を上映する映画祭です。審査員ではなく観客が主体となって作品に賞を与える映画祭で、会期中は街のいたるところでイベントが開催されます。なかでも、生け花の展示や、ロックバンドのコンサート、コスプレ・イベントなど、日本関連のイベントは最も人気があるとのことでした。最後に、来年は映画祭が20回目を迎える記念すべき年にあたることから、開催にあたっての熱い思いを語っていただきました。

  28日は、絵本作家、版画家、イラストレーターと多彩な活躍をされている鎌倉在住のささめやゆきさんにお越しいただき、「私の好きなフェリーニ」と題してトークイベントを開催しました。ささめやさんの魅力的な語り口で、フェデリコ・フェリーニの故郷であるリミニを訪れた時のことや、フェリーニの代表作である『道』や『アマルコルド』の魅力をお話しいただきました。ささめやさんのお話から名場面が思い浮かぶようで、会場の皆様と映画の楽しさを共有できたひと時でした。

  本特集の開催にあたっては、鎌倉で活動されている市民団体「かまくらアッカデミア・イタリアーナ」の皆様、そして、サブリナさんの通訳を務めていただいたイタリア語講師の広瀬美穂さんに多大なる御協力をいただきました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

 「かまくら世界映画週間」は、これまで中国、ドイツ、フランス、そして、今回はイタリアと開催してきました。来年も映画を通して、新たな国の魅力をお楽しみいただきたいと思いますので、ぜひご期待ください!(文)