5月14日、鎌倉シネサロン「今、“鎌倉アカデミア”とは」を開催

当館は、これまで鎌倉と映画をテーマに鎌倉シネサロンにて鎌倉アカデミアに関するイベントを開催してきましたが、その集大成ともいえるのが、5月14日に開催した「今、“鎌倉アカデミア”とは」です。
昨年、ゲストとしてお越しいただいた大嶋拓監督から、鎌倉アカデミアに関するドキュメンタリー映画が完成するとのお話をいただき、ぜひゆかりの鎌倉で上映ができたらとのご相談を受けたときからこの企画が始まりました。その後、鎌倉アカデミアが授業を開始した5月14日に日程が決まり、あわせて、大嶋監督に対談相手として春風社代表である三浦衛さんをご紹介いただき、このたびのトークイベントが実現しました。

映画『鎌倉アカデミア 青の時代』は、2006年に鎌倉の光明寺で開催された鎌倉アカデミア創立60周年記念祭から撮影が始められた作品で、その後、大嶋監督自ら多くの関係者へのインタビューを行い、約10年の歳月をかけて完成させたドキュメンタリー映画です。当日は満席の会場で映画が上映されました。

大嶋拓監督は、鎌倉アカデミア演劇科の教授であった劇作家・青江舜二郎氏のご長男で、鎌倉アカデミアの関係者との縁も深く、2013年には鎌倉アカデミア演劇科第1期生であった後藤泰隆氏によって創立された現代影絵の専門劇団かかし座を追った『影たちの祭り』を発表し、本作へと繋がっています。トークイベントでは、大嶋監督から本作の製作過程を中心に語っていただきました。また、春風社代表の三浦衛さんからは出版人の立場から、鎌倉アカデミアが伝える「自由」の意味や学問の世界における個人と教育の在り方を語っていただき、鎌倉アカデミアが、今、私たちへ多くの示唆を投げていることをあらためて実感することができました。

トーク終盤には演劇科1期生で鎌倉在住の加藤茂雄さんにご登壇いただきました。加藤さんは長らく東宝撮影所で俳優として活躍され、『七人の侍』(1954年/黒澤明監督)や『ゴジラ』(1954年/本多猪四郎監督)など多くの日本映画の名作に出演された現役の俳優です。92歳になられる今も、鎌倉アカデミアで過ごした日々を、まるで昨日のことのように鮮明な出来事として熱く語られている姿が印象的でした。

今回、東京での劇場公開に先がけて当館で先行上映として開催させていただきました。この場を借りて、あらためて関係者の皆様をはじめとする多くの方々に感謝を申し上げます。今後も、ぜひ映画『鎌倉アカデミア 青の時代』を上映する機会をつくりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。(文)