特別展「世界のクロサワとミフネ」終了、ご来館いただいた皆様ありがとうございました!

センター試験が行われる今週末、各地で寒波到来のニュースが伝えられる中、鎌倉では厳しい冷え込みになったものの、穏やかな快晴で散策を楽しまれる方も多かったようです。

9月半ばより4ヶ月にわたって開催してきました、特別展「世界のクロサワとミフネ-監督 黒澤明と俳優 三船敏郎」も、本日をもって無事に終了いたしました。
特別展や映画上映にお越しいただいた皆様、本当にありがとうございました。

上映の方では、今年に入ってから『生きる』『七人の侍』と、黒澤監督の現代劇/時代劇の代表作を、花火大会のフィナーレのようにドカンドカンと打ち上げさせていただきました。
特に『七人の侍』は、通常より回数を増やしての上映でしたが、さすが多くの人に愛され続ける作品なだけあり、連日大入り満員となりました。去年デジタルリマスター版が作られて話題になっていたのも追い風になったかもしれません。
黒澤作品はいずれも、スクリーンで観てこそその迫力が体験できるので、この貴重な機会に多くの方にご覧いただけて何よりでした。

また、1月13日の午前中には、黒澤監督の御長女であり、衣裳デザイナーとして映画やテレビなどで大活躍中の黒澤和子さんが、忙しいスケジュールの合間を縫ってトークイベントに駆けつけてくださいました。
「父 黒澤明から受け継いだこと」と題した講演では、天皇や巨匠といわれ、厳格な《完璧主義者》として知られる黒澤監督を、家族という立場から非常に魅力的に語ってくださり、監督に対してこれまでになく親しみを感じられた方も多かったのではないでしょうか。

「子どもは生まれたときは誰もが天才で、教えていくことでどんどんダメになっていく」との持論を持っていた監督は、子どもを「生まれたままに育てる」ことを信条にしていたそうですが、和子さんには小さな頃から、ゴッホやセザンヌなどの名画を「いいだろう、いいだろう」と見せたり、能を鑑賞させるなどしていたこと、一緒に習字をした際には、和子さんの書いた字が自由でいいと、黒澤監督も負けじと1日中、書き続けていたという子どもっぽさを持ち合わせていたことなど、愛らしい面が感じられる一方で、毎日のように20~30人のスタッフを連れて自宅に帰り、お正月には150人もが黒澤家を訪れるため、女性陣は料理やお酒の用意で、てんてこまいだったこと、物心がつく前から和子さんも手伝わされていたことなど、多くのスタッフを束ねる映画監督とその家族の大変さが思いやられました。
昨年は、大人気だったNHKの連続テレビドラマ小説『とと姉ちゃん』をはじめ、新作7本というこれまでにない作品数を手掛けられたという和子さん、今年も早速映画の撮影がクランク・インし、その日もお昼からCMの打合せがあるからと、講演後は慌しく鎌倉を後にされました。黒澤和子さんの今年益々のご活躍を楽しみにしたいですね!

次回企画展「ヨーロッパ映画紀行」は1月20日(金)より始まります。
日本の男らしい時代劇からがらっと中身が変わりますが、是非また足をお運びください。
今度は2ヶ月弱と短いのでお早めに!(胡桃)