「何が彼女をそうさせたか」上映会

シネマセレクションvol.5 甦る幻の名画「何が彼女をそうさせたか」

1930(昭和5)年、世界恐慌の真っ只中に公開され、浅草常磐座で異例の5週間続映という空前の大ヒット。当時の世 相の一面を形成するほどに一世を風靡し、タイトルは流行語にもなったと、伝説のように語り継がれてきた。その後フィルムは失われ、長らく現存しないとされ ていたが、平成5年にロシアで発見された。幻だった日本映画史のマスターピースが、鈴木重吉監督の地元鎌倉で、いま甦る!

一本の数奇な運命を辿ったフィルムが復元され、今日鎌倉でみなさんにこの映画をご覧いただくことが出来て、スタッフ・関係者一同たいへん嬉しく思っております。午前も午後も、会場は満席でした。川喜多夫妻とも交流のあった本作品の監督・鈴木重吉氏ですが、今回の上映会にご尽力くださった鈴木監督の娘さんである志村さんも茅ケ崎から上映会に駆けつけてくださいました。フィルムの復元を行った太田米男教授(大阪芸術大学)、ロシアでフィルムを発見した山川暉雄氏のご子息であり、本作品を製作した帝国キネマ初代社長・山川吉太郎氏の曾孫にもあたる山川雅行氏も、ともに大阪から駆けつけてくださいました。そして驚いたことに、この上映会の知らせを耳にして記念館にお越しくださった方がもう一人、午前の上映&トークショーの後に原作者・藤森成吉さんの娘さんがそっとお声をかけてくださいました。甦った幻のフィルムの上映のもと、このように関係者のみなさまが鎌倉に集うという感動的な場面に立ち会うことができて、お客様も我々スタッフも一同たいへん興奮いたしました。

このような貴重な機会にご協力くださった皆様と、本作品の上映を80年前の当時と同じように「面白い!」「面白かった!」と心から楽しんでくださったお客様に、心よりお礼を申し上げます。有難うございました。