【企画展】「映画字幕翻訳の仕事 ──1秒4文字の魔術」

2025年1月19日(日)~3月30日(日)

日本では外国映画を鑑賞する際、伝統的に吹き替えではなく字幕をつけて観ることが好まれ、戦前から主流となってきました。必然的に映画字幕の文化は高度に発達し、目で瞬時に読むのに適した字数や字幕の出るタイミングなど、作り方の骨組みが確立されました。フィルムの画の上に字幕をのせることから「スーパーインポーズド・タイトルズ(superimposed titles)」と呼ばれるこの特殊技能は、日本では「スーパー字幕/字幕スーパー」と呼ばれています。初の日本語スーパー字幕付き映画は1931年公開の『モロッコ』で、以来外国映画には優れた翻訳者たちの手によっていくつもの名訳が刻み込まれてきたのです。この『モロッコ』の字幕を手がけた田村幸彦よしひこに抜擢され、スーパー字幕の“専門職第一号”となった清水俊二をはじめ、『カサブランカ』(1942年)で「君の瞳に乾杯」という名訳を生み出した高瀬鎮夫しずお、川喜多夫妻が日本に紹介した『天井棧敷の人々』(1945年)や『第三の男』(1949年)、『禁じられた遊び』(1952年)など欧州映画の名作を翻訳した秘田余四郎ひめだよしろう…と、これまで卓越した職人たちが映画全盛の時代を陰で支え、字幕文化の道を拓いてきました。

本企画展では、かつてタイトル・ライターが字幕カードを手書きしていた時代の制作プロセスやその歴史の変遷、映画字幕翻訳の仕事にまつわる事柄を関連資料とともに振り返ります。また、字幕翻訳者が選出した「想い出の名セリフ」の数々を、映画イラストレーターとして知られる宮崎祐治のイラストとともに紹介します。

『禁じられた遊び』(1952年)字幕原稿(秘田余四郎)

『ハムレット』(1996年)字幕原稿(清水馨)

『天井棧敷の人々』(1945年)秘田余四郎直筆の字幕原稿

字幕カード(タイトル・カード)

字幕カード(タイトル・カード)

字幕を打ち込むための銅板


休館:月曜日(2月24日は開館)、2月25日(火)
主催:川喜多・KBSグループ(鎌倉市川喜多映画記念館指定管理者)

企画展観覧料:一般:200円(140円) 小・中学生:100円(70円)
※( )内は20名以上の団体
※鎌倉市民(市内に住所を有する方)は展示観覧料が無料です。入館の際に住所が確認できる証明書(運転免許証、国民健康保険証等)をご提示ください。


展示協力:ACクリエイト、映画美学校、映画翻訳家協会、鎌倉文学館、国立映画アーカイブ、日本シネアーツ社、稲田嵯裕里、小野里 徹(POSTER-MAN)(敬称略)

イラストレーション:宮崎祐治 デザイン:相馬敬徳